声優という仕事
声優とは、アニメ、洋画(海外ドラマ)の吹き替え、ナレーション、ゲームなどで声を使い演技をする専門職である。高い技術を求められる職業にも拘わらず、人気も対価も少ない日陰の業界であったが、現在日本の声優人口は2025年現在で1万人を超えており、若者の中で大変人気な職業となっている。
ここでは、外画の吹き替えやナレーションについては除外し(また別の機会に)アニメのアテレコについて話したい。
日本声優のレベル
個人的な意見だが「日本声優のレベルは非常に高い」のではないかと思う。何と比べてかというと、勿論、外国の声優も含まれるが、どちらかというとテレビや映画に出てくる日本の俳優と比較してのこと。(声優も俳優の一種だが、ここでは声優と俳優で分ける。また、舞台はよう知らんので舞台俳優は除く)
理由のひとつは、事務所の力やスポンサーがらみのバーターで、実力不相応なキャスティングなされることが俳優業界よりは少ない。また、適役であれば制作から直接お声掛けされるケースはあるが、トップクラスの声優でも基本はオーディションを通しての配役となる。必要なのはオーディション時にどれだけ役にあわせた芝居が出来るかの一点。つまり実力主義かと。
また、キャラに合わせた身体的な特徴が無関係なので、オーディション参加への敷居が低くなる=参加者数が増えて競争力が上がる。そこで選ばれるのは忖度なく実力者ということ。それに、薄給の業界なので一人が抱える声優としての仕事の本数が多い、つまり経験値が高い。最後に、声優の専門学校や養成所が多く存在する(大小含め100以上)。学校があるということは、カリキュラムがあるということで技術体系が完成されているということ。つまり技術力の平均値が高い。そういった人達が常にオーディションで戦い抜いて選ばれるということで、やはり実力主義。役を得る為に戦い、役を得ても戦い、役が終われば直ぐに次の戦い。本番が多ければ技術は確実にあがる。
更に付け加えると、この10数年のアニメ制作数は凄まじいので、声優達の経験値を獲得できる場も多いといった点もある。(年間300近い作品が制作されるので、出演する声優を平均15名とした場合4,500人の役が存在する。)
外国声優との比較
因みに、外国人声優と比較した場合だが、日本のアニメを英語バージョンを聞くと、日本のトップ声優達の域に達している人は少ないと感じる。(そりゃ「お前のイメージだろ」と突っ込みたい方もいるかと思うが、英語がわからなくても外人歌手の歌が伝わるかどうかはわかる訳で、故に、感じたことが全くデタラメとは言えない。)
歴史の問題もある。日本アニメは1940年代から始まったが、当時は声優専門の俳優は存在せず、基本は舞台俳優がアテレコしていた。1950年代に入ると、声優の需要が一気に増えることとなる。それは、世界の共通語たる英語が日本人には分からないといったことが所以である。当時日本のテレビ局は今ほど番組を制作できなかったので、外国産のドラマやアニメを輸入して放映していたのだが、当初は字幕があまり受け入れられなかった。その様な背景から「吹き替え」というサービスが生み出された訳だが、結果的にアテレコの需要が増えたことで、専門声優を生み出すキッカケとなった。英語が母国語の国では基本アニメーションのみアテレコされる訳で、日本とはそこに違いがあり、そのアドバンテージが日本声優の技量を高めた理由ともいえる。
また、アニメに対する文化の違いもある。例えば、もう一つのアニメ大国アメリカの場合、ディスニーやピクサーといった制作会社があるが、作品のターゲット層がキッズであり、つまり、芝居の質や演出の幅が大きく異なる。それに、日本と比べて作品数が少ない。現場が少なければ経験も出来ず育つものも育たない。
、、、こじつけです。私が声優を応援しているということだけ伝わればええです。
知って欲しい素敵な声優
熱量高めで語りましたが「いまいち興味が沸かない」、「ピンとこない」という方ばかりだと思います。そもそも声と名前の一致する声優さんもほぼいないと思います。そこで、そういった方達に少しでも興味を持っていただく為に何名かご紹介したいと思います。声優名だけ紹介しても意味がないので、キャラクターと作品名も含めます。若い世代の声優はよう知らんので除外。また、「上手い声優」というくくりで紹介すると3桁ぐらいになりそうなので、以下4点の条件付けをします。
1.「よくぞこの声優を選んでくれた!キャスティング担当者に感謝!」キャラクターとのシンクロ率120%の声優
2.「あっ聞いたことあるわ!」声に特徴があって判別しやすい声優
3.「新人はお下がりなさい!」出演作品300作品以上の声優(ナレーション、ゲームを含める)
4.上記3点をクリアしつつ私の好きな声優
上手いのは当たり前!シンクロ率120%!声音に特徴のある一流声優紹介!
※順番はランキングではありません。
1.尾形百之助役 津田健次郎
作品名:「ゴールデンカムイ」
この4~5年は俳優としての活動もあり、一般の方にも認知されてきたイケてるセクシーボイス(通称イケボ)の津田健次郎。劇団出身で若い頃は俳優として活動(現在も継続中)。泣かず飛ばずが続く中、たまたま紹介されたアニメのオーディションをキッカケに声優となった苦労人です。この仕事で食えるようになったのは40歳を超えてからだそうです(現在54歳)。私が意識する様になったキッカケは2017年制作「ACCA13地区/ニーノ」役ですが、最近作では「呪術廻戦/七海健人」、「チェンソーマン/岸辺」役が有名です。
2.ターニャ・デグラチェフ 悠木碧
作品名:「幼女戦記」
4歳で子役として芸能界入り、2003年(小学5年生)にたまたま受けたオーディションで声優デビュー(キノの旅)。幅広いキャラクターを演じ分ける表現力で唯一無二の存在感を放つ声優さん。2011年当時流行に流行りまくった魔法少女系異色作「まどマギ」で「鹿目まどか」役を勝ち取って以降、トップ声優として良作に出演し続ける天才声優。最近では「薬屋のひとりごと/猫猫」役が有名ですね。幼女戦記の芝居は少々大袈裟ですがマジスゲーです。最初はイラつきましたがだんだんと癖になります。
3.有楽亭八雲 石田彰
作品名:昭和元禄落語心中
甘い声音でクールな役どころから、少年、ボケ、ミステリアスといった様々な役をこなす安定感抜群の声優。例えようのない不思議な説得力を持っていることが特徴です。この人に憧れて声優を志す新人声優の話は結構耳にします。大作では「新世紀エヴァンゲリオン/渚カヲル」、「銀魂/桂小五郎」、「NARUTO/我愛羅」、最近では「鬼滅の刃/猗窩座」役でもご活躍されています。昭和元禄落語心中では、主人公の師匠として実際に落語を演じます。それはそれで見どころではありますが、ライバルの落語家役に山寺宏一、ヒロイン役に林原めぐみという超一流役者との掛け合いも見どころです。
4.ハラウェイ 榊原良子
作品名:イノセンス
クールで知的、凛とした気品と周りを圧倒するような力強い声質が特徴のベテラン声優(69歳)。「風の谷のナウシカ/クシャナ」、「機動戦士ガンダムシリーズ/ハマーンカーン」、「機動警察パトレイバー/南雲しのぶ」、最近の作品では「呪術廻戦/ナレーション及び天元」役が有名です。ワシ、めちゃめちゃ好きな声優さんです。ばりええです。イノセンスはワンシーンのみの出演です。
5.スパイク・スピーゲル役 山寺宏一
作品名:「カウボーイ・ビバップ」
業界の頂点をつかんだ男、声優界の神「山寺宏一」通称やまちゃん。トップ声優200名が選ぶ声優ランキングでも1位に輝いた「オッハ~」と「物まね」で有名な天パと眼鏡のオッサンですが、この業界の至宝といっていい存在です。彼の演じた有名キャラは、「新世紀エヴァンゲリオン/加地リョウジ」、「それいけ!アンパンマン/チーズ」、「機動戦士ガンダム逆襲のシャア/ギュネイ・ガス」などありますが、カウボーイビバップのスパイク・スピーゲルのハマり具合は半端じゃないです。他のどの役者がやってもこの山ちゃんを越えることは不可能だと思います。(因みに、声音の特長はそれほどありませんが、ハマり具合が素晴らしいので含めました。)
余談
日本の声優が上手ですよ、素晴らしいですよ、注目してあげてください。という話をしましたが、日本アニメ界の巨匠「宮崎駿」は日本の声優があまり好きじゃなさそうです。その理由を(その時の文言を細かく覚えていませんが)ざっくりまとめると「下手糞=上手すぎて不自然」という意味合いの事を仰られていました。確かにリアルではありませんが、それ言い始めるとねぇ。。。なので、ジブリ宮崎作では、声優を専門とするプロを起用せず、一般の俳優が起用される事があるのはスポンサーがらみではないのかもしれません。

